愉しさ|話に花を咲かせたい時に

ブレンド

長い間会えていなかった友人や家族と久しぶりに会う。仕事のこと、恋愛のこと、最近はじめた趣味のこと、話したいことはたくさんある。でも、そんな気の知れた人との再会も、久しぶりだとどこかそわそわ少し緊張する自分も。今回は、アフリカ系を主体にナチュラル精製の豆を深煎りにしたブレンドに。初めは、相手との緊張感をどっしりとした深煎りの味わいで穏やかに解消しつつ、時間が経つに連れ徐々に出てくるフルーティーで甘い香りが楽しい気持ちを後押ししてくれるような味わいにしました。この1杯が大切な人との時間を滑らかに巻き戻してくれますように。

 

小説のあらすじ

夕刻、フラワーカフェ・サンで店主の涼一さんは小児科医である鈴さんに珈琲を出す。18年前、二人は一緒に暮らしていた姉弟だった。涼一さんは幼い頃、身体が弱くて子どもらしい愉しみを味わえなかった。涼一さんの看病に追われる両親を気遣い、何でもひとりでこなしていた鈴さんも、それは同じ。寂しい過去を抱えながら、二人は大人になった。かつて家族四人で行った向日葵畑に思いを馳せ、姉弟は思い出の場所へ行き、話に花を咲かせる。

著者|小牧幸助

作家。1990年三重県生まれ。早稲田大学卒業後、主として1分で読める心が和む掌編小説の執筆活動を続ける。

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