感謝のシーン|ありがとうの気持ちを伝えたい時に

ブレンド

ふと一息ついて、今 “ あるもの ” に意識を向けてみる。天気の良い日に気持ちよく早起きできた休日。いつも優しく気をかけてくれる友人や職場の先輩。好きな小説を思う存分読めるゆっくりとした一人の時間。当たり前に過ぎていく日常や人の優しさが、当たり前ではないと気づける時、自然と感謝の気持ちが湧き上がってくるもの。今回のコーヒーは、チョコレートや蜂蜜の優しい甘さと、熟したリンゴのような甘酸っぱさがスッと入ってくる心地よい中煎りのブレンド。丸みのある滑らかな質感と、優しい甘さがあたたかい気持ちにさせてくれます。

 

小説のあらすじ

冬の朝、珈琲屋を営む祖母の夢を見て目覚めた優(ゆう)の瞳から涙が零れ落ちた。卒業を間近に控えた大学生の優は何事も要領良くこなしてきたはずだったが、ただ一つ、珈琲屋への思いを手放せずにいた。祖母の入院をきっかけに久しぶりに実家へと帰ったが、未だに祖母へ内定が決まった事を告げられずにいる優。人生の分岐点を迎え、両親の言う通りに生きてきた僕の心は確かに揺れていた。そして、祖母の珈琲屋で飲んだ1杯の珈琲で、止まっていた家族の時間が動き出す。

著者|高嶺理想

"詩書きと写真家。1998年、長崎生まれ。長崎大学在学時にカメラと小説執筆を始める。卒業後は地元企業に就職。現在、小説サイト「monogatary.com」にて小説の執筆を行う。また「写真を詠む」をコンセプトに小説と写真をリンクさせた作品をTwitter、Instagram等のSNSで掲載中。2022年春には写真集の発売、秋には九州内で写真展の開催を予定。